2012年4月8日日曜日

Miu'z Journal *2 -ロンドン音楽会日記-:ロンドン・フィルハーモニック


04.02.2012 @royal festival hall

bruckner: christus factus est; symphony no. 9; te deum

christine brewer (sp), mihoko fujimura (ms),
toby spence (tn), franz-josef selig (bs)
yannick nézet-séguin / lp choir, lpo

ブルックナーの未完の大作、交響曲第9番。若手ブルックナー指揮者の第一人者、ネゼ=セガンさんの指揮で。期待するでしょう。だって、ロンドン・フィルとは、交響曲第7番、第8番とモニュメンタルな演奏を聴かせてくれたんですもの。わたしが彼を「発見」したのは第7番、そして、第8番は圧倒的な名演でした。いよいよ第9番です。ブルヲタさんの間では交響曲第8番が圧倒的人気みたいだけど、わたしは第9番が好き。そして今日は、変わった形式。交響曲の前に、合唱のモテット、第3楽章のあとフィナーレとして「テ・デウム」が続けて演奏されるのです。この未完成の交響曲を完成型として聴くのは初めてです。「テ・デウム」は何故か出だしの音楽は良く知ってるのに聴くのは初めて(もしかすると昔ラジオ で聴いたことがあるかも)。始まる前に、ネゼ=セガンさんが、今日の音楽会ではこの3曲をひとつの曲として続けて演奏する旨、間に拍手はしないようアナウンスしました。この試みの是非はあとで書くとしてまず音楽。


画像APAスタイルを引用する方法

最初のモテットですでに涙腺崩壊。5分くらいの短い曲ですが、この合唱だけの音楽が祈りに満たされてとっても良かったんですよ。ブルックナーのモテット、初めて聴きましたがとっても良いです。交響曲書くより宗教曲をもっと書けば良かったのにって思っちゃうくらい。
そしてそのまま続けて、交響曲第9番。大人数の合唱が交響的に書かれているので、全く違和感なく始まったというか、宗教音楽の続き、宗教音楽として交響曲が演奏されているように思えました。まさに、「愛する神に捧げる」音楽。この言葉がここまで真実味を持って聞こえたのは初めてです。だって、今日は前奏としてモテット「キリストはこうあらせられた」を演奏して、交響曲のフィナーレ、結論として「テ・デウム」が演奏されてるんですもの。まさに愛する神に捧げるのが交響曲の主題になってます。


なぜ代侮辱か

交響曲、ネゼ=セガンさんのブルックナーに特徴的な遅めのテンポ。と思ったんですけど、ブロックごとにテンポを変えてきました。以前に第7交響曲の第4楽章で聴いたのと同じような(あれほど極端ではありませんでしたが)解釈。音楽会のあとのディスカッションでは、ネゼ=セガンさんは、ブルックナーの交響曲を枠から(構造から)捉えて演奏するのではなく、細部にこだわって組み立てていった結果、巨大な構造物ができあがるように演奏するとおっしゃっていました。それぞれの細部を独立にこだわって演奏することで、こういう解釈になるのでしょうか。正直に言うと、第1楽章はわたしの好きなタイプではありませんでした。わたしはもう少しインテンポな演奏� ��好みです。それに、残念ながらわたしの席では、楽器の音がそれぞれ分離して聞こえてしまって(特にベルがこっちを向いてるフルートとホルンが)、音楽が多少ちぐはぐに聞こえました。なので、わたしにとって最高のブルックナーの演奏ではなかったのですが、でも、最高に共感できる演奏ではありました。


あなたは建築家になるために知って何が必要です

彼の演奏したこの曲のCDを持っているのですが、どういう訳か、音が遠くで聞こえてくるように感じる演奏なのです。でも、同じようなことを今日の演奏でも感じました。どんなに強奏しても。乱暴にならず余裕を持って響かせてる感じ。神に捧げる音楽として、丸く美しい音楽を心がけたのでしょう。その美質は第3楽章に生きました。ネゼ=セガンさんの談では、「皆さんそうは思わないでしょうが、わたしとしては速めのテンポだったんです」。いいえ、十分ゆっくりしたテンポだったですよ。ロンドン・フィルの弦楽セクションは、清廉な響きでとっても上手いので、この祈りの音楽がとってもステキでした。ブルックナーが、自身の死� �悟りながら書いた音楽にもかかわらず、最後の最後にブルックナーに交響曲を完成させる時間を与えてくれなかった神をどう思ったかは分からないけれども、不安よりも平安に満ちてる。そして、フィナーレを置くことによって、3楽章の交響曲として演奏したときと違いがあるのかの問いに対しては、「分からない。多分違うのかも知れないけど、違わないかも知れない」とのことだったんですけど、やっぱり、最後はフィナーレを予感させていたのは、続けて「テ・デウム」が演奏されるという期待があったからかしら。


独唱者は、第2楽章と第3楽章の間に入場して(オーケストラの後ろの合唱団の真ん中で歌いました)、交響曲と「テ・デウム」の間に隙間が生まれないように工夫されていました。交響曲と「テ・デウム」の間に若干の間を取ったのは、第3楽章の余韻を大事にするためですね。「テ・デウム」を交響曲のフィナーレに置くことは、ブルックナー自身がが生前、示唆したことがあるそうなんですが、調が合わないとかいろいろ問題があるそうです。でも今日、実際に聴いて、全然問題ないと思いました。調の不整合性は、はちゃめちゃなマーラーの交響曲に慣れた耳にはあまり違和感を感じさせないし、作曲年代が違う(から様式が少し違う)と言っても、すでに本体の交響曲に第7番の引� ��はたくさんあるし、それも問題ありません。確かにブルックナーがフィナーレを完成させていたら全く違うものにはなったでしょうけど。でも、圧倒的な音楽的な力は、こういうやり方があっても(全てではない)いいな、と感じさせるものでした。


やっぱり合唱がとっても良くて、アマチュア(と言ってもかなり選抜されているんじゃないかしら)の合唱団でもかなり実力があります。オーケストラに負けない迫力はあるし、イギリスって実は合唱が盛んで、底辺が広い分、頂点も高いんですね。それから独唱陣も、この曲のため(たった1回の演奏会)に連れてこられたのに、贅沢すぎるメンバー。全員間違いなくとても良かったんですけど、一番目立っていたテナーのスペンスさんが良かったです。テナーなのに中低音が充実して声が豊か。声とオーケストラが、こぞって神を称える音楽は、愛する神に捧げたこの交響曲のフィナーレに論理的に全くふさわしい。1時間半を超える長大な交響曲として完成して、なんだか時を忘れて、� ��いうかまわりの世界が無になって永遠の音楽の中にいたみたい。素晴らしい体験でした。


ネゼ=セガンさんは、10年前、ブルックナーを初めて採り上げたとき、今日と同じように演奏したそうです。本人いわく「ロマン主義的なので」、スケッチを元に別の人が完成させたフィナーレには全く興味がないそうです。彼のそうした信念に裏打ちされた、全くぶれのない解釈の演奏だったと思います。重ねて言うと、わたしにとって最上のブルックナーの演奏ではありませんでしたが、最高に納得できる素晴らしい心に残る演奏でした。30代半ばのネゼ=セガンさん、多分、まだ、作曲家の人生の最後に書かれた音楽を演奏するにはまだ若くて足りないところもあるでしょう。でも、ロマネ・コンティのような最高の作り手による若いワインのような味わいで(といいつつ、ロマネ� ��コンティってワイン屋さんで空きボトルを見たことがあるだけですけどね、想像想像)、これから上手に熟成させれば最高のワインになる、そんな可能性を秘めた音楽でした。



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