ばっきー&イヤミーが、見た、着た、買った?&食った!!! その26-2
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26★民主党のレース~女か?黒人か?究極の選択が投げかけるもの。
その2:完璧すぎる女、ヒラリーの悲劇
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26-2:完璧すぎる女、ヒラリーの悲劇
◆ニューハンプシャーで辛勝したヒラリー
前回の続きで、今日はヒラリー・クリントンについて。
でもその前に、これが配信される頃には、
日本の新聞にもニューハンプシャー州をヒラリーが制したことが掲載されているでしょう。
辛くも?と書いてあるでしょうか、デッドヒートと書いてあるでしょうか。
確かに、午後8時から開票が始まり、
共和党の結果が出ても、なかなか、オバマかヒラリーかはわからず。
一進一退でした。
開票特番をずっと見ていたのですが、結局ヒラリーの首位(プライマリー)が固まったのは
開票から3時間後の11時ごろのこと。
開票速報を流しながら世論調査もどんどんやるのが,
アメリカのテレビ&政治のおもしろいところ。また選挙データもあわせて出てきます。
今回は、ヒラリー自身が『初の女性大統領』との表現を使い、
同時にジェンダー問題(性差に関して、特に女性問題)を提起したこともあり、
民主党支持者の女性の47%がヒラリーに投票したそうです。
ここは勝因のひとつと分析されています。
一方男性の40%近くは、オバマに。
男女に関しては、かなり保守的(男尊女卑)なアメリカ、なんかよくわかります。
それにしても、ニューハンプシャー州ってどこだか知っていますか?
私は昔読んだ『ホテル・ニューハンプシャー』という小説と選挙のイメージしかありません。
ニューヨーク州やマサチューセッツ州に近い東部ですが、
いわゆる中産階級が多い田舎だそうです。
テレビの解説でも『お父さんは工場で、お母さんはダンキンドーナツで働いて、子供二人を育てているような家族の家がたくさん、たくさんあるところ』(ほんとにこういう表現)と言っていました。内容より、テレビでのこの表現にびっくりですが。
しかし、この全米で41番目、人口130万人程度の小さなニューハンプシャー州でも、
記録を塗り替えるほどの投票(有権者登録をした人が増えたということらしです)で、
82万人以上が投票し、このうちに45%はいわゆるインディペンデント,
浮動票層(常々は民主・共和のどっちを支持するか決めていない人)だったらしいです。
本当に僅差で負けたオバマは演説で
『Something happens united states』といいました。
(余談ですが、開票後の演説はオバマがピカ1。本当にスピーチライターが素晴らしく
演者としてのオバマはすばらしい。デイベートはダメだから、
ライターがいいだけなのかなあ??)
確かに、今、アメリカで何かが起きていると思います。
議会および上院でどのように多くのアフリカ系アメリカ人です。
さて、前日までの大方のマスコミの予想では、ヒラリー劣勢。
たとえば、前日のUSATodayの調査では、オバマ48%に対してヒラリー28%。
ラムゼンリポートはオバマ39%にヒラリー27%、
CNNや3大ネットワークも概ねオバマ・リードの予想でした。
私が見た中では唯一、ロイターの調査が、1%ヒラリーリードというもの。
しかし、ふたを開けたら、ヒラリーが僅差で勝利。
言うまでもないですが、ヒラリーは大本命でした、ずっと。
前回のケリー(前回の民主党の大統領候補でブッシュに惨敗した)のときでさえ、
待望論があったし、今年の立候補はとっくの昔に発表していましたから。
しかし・・アイオワでまさかの負け!
そこから、かなり、それこそ、死ぬ気で頑張ったみたいです。
マスコミ(報道以外のメディアも・・)はヒラリーが負けて、喜んでいるかのように、
ネタのしたり、わざと彼女が叫んでいる写真を使って、PANIC!と見出しをつけたり・・。
彼女もかなりナーバスになっていたようで、会見(ミーテイング)で、
『これは、私個人にとっても、とても重要なことで・・・公的な問題だけじゃない・・・』と、
こみ上げる涙を抑えきれず、泣いてしまう様子が放送されました。
これはもう一日中あらゆるニュースで何度も何度も流されました。
それで、対立候補のエドワースに『大統領候補はタフじゃないといけない』って言われたりして。
そして、こういうことがあると、その瞬間から『どう思うか?』という世論調査がさまざまな機関で行われるのがアメリカの政治。
中には、回答の選択肢に『うそをついている(泣きまねしてる)と思う』
なんていうのがあったりして、まあ、ほんとうにタフじゃないとやっていけません。
これについて当のヒラリーは、
ABCのダイアン・ソーヤ(もうかれこれ15年くらい一線の政治記者だったプラチナ美人・・・だけど老けた!私、昔、大ファンでした。)に聞かれて、
『いろいろ思いつめることがあった』と答え、
タフじゃないといけない・・と批判されたことに対しては
『私がタフだということを知らない人がいるのかしら?』と・・・。
そうです!!あなたがタフじゃないなんて思っている人はいません!!!!
そしてそこが、ヒラリーの悲劇なのだ・・・と、
この数週間のヒラリーウォッチングで、私は思っているのです。
◆"完璧"を手に入れた女
ヒラリー・ローダム・クリントン(Hillary Rodham Clinton)は1947年生まれで、現在60歳。1993年から2001年までの2期8年間、クリントン大統領のファーストレディで、
世界中で知らない人はいない有名人です。
落下傘候補だったのに、NY州の上院議員で2回の当選ともぶっちぎり、
誰よりも早く当選を決めています。
ちなみに、彼女は、オバマが上院議員をやっているイリノイ州のシカゴ生まれ。
なぜ最初の憲法は失敗しました
日本では普通にヒラリー・クリントンとか呼んでいますが、
こちらの新聞には、ほぼすべてにヒラリー・ローダム・クリントンと書かれています。
なぜか?
これまでの大統領夫人は旧姓であるミドルネームを
ホワイトハウスに入るとはずしていたそうですが、
ヒラリーは使い続けることにこだわったそうです。
そして、今回の選挙でも、あくまでヒラリー。ポスターもキャンペーンのキャッチもヒラリー。
日本で考えると、他の候補者が、苗字なのに、ひとりだけ名前ってことです。
山田さんと中村さんと花子さん・・・って感じですね。
このあたりのこだわりは、私もいわゆる自立した働く女性ではありますが、
一世代前の、働く女性=戦うフェミニストのイメージを禁じえません。
経歴も、完璧なのはご承知の通りで、ィエール大学のロースクールを出て
全米ベスト100弁護士に選ばれるような才媛です。
家は保守系・共和党支持だったそうで、政治的な経歴のスタートは意外にも共和党。
男の兄弟2人の中の女の子で、お父さんはばりばりの保守系で、
お母さんは専業主婦だったらしいので、確かに、女性の権利とか自立とかについて、
深く考えさせられる環境だったのではないかと察します。
クリントンが州知事になる前から、
ヒラリーはカーター政権で国政の一端を担っていたそうだし、
クリントン大統領時代は常に閣議に出席していたことも有名です。
そういうことを隠したりもしないし、堂々と政治活動を行ったので、
もうアメリカ中の人が彼女がただのファーストレディじゃないことを知っています。
ルックスも夫が大統領選挙に出る前に、大イメージチェンジをしたのは有名ですよね。
知らない人は探して写真を見てください。その前は別人です。
当時、私は、アメリカのテレビで特集していたビフォー&アフターを見て、
めがねをはずして、ブロンドにしたら美人だったのね・・・というだけでなく、
クリントンが彼女の容姿に惹かれて結婚したのではない!ことは確かだ・・と思ったのを覚えています。
つまり、いまや、全米で一番頭のいい女、キレる女(スマートって意味)、
負けない女・・・その上、結構きれいな人がヒラリーです。
さらに、夫は2期満了した大統領で、それは優秀な妻である彼女のおかげで、
お金もあって、子供も生んでいて、その娘も優秀(かわいくないけど)、
非の打ち所のない完璧な女性がヒラリーなのです。
◆完璧な女の悲劇
そこで、質問。あなたは完璧な女が好きですか?
源氏物語で光源氏含めた男たちの四方山話で
『才女・賢女や風流ぶった文学趣味の女はいやみ。知っていることも知らないふりをする、
言いたいことも1つ2つは言わないくらいがいい』と言って
全員一致するシーンがあります。
アラパホー郡、共同で投票する場所
おそらくこれは普遍の男性心理でしょう。
こういうことは口に出してはいけないと、今時分の男性は教育されていて、
中々言わないかもしれないですが、
クリントンを見て『ああいうのが奥さんって・・・すごいなあ、俺には無理(イヤ)』とか
『あれを家で飼っているのは、尊敬に値する』なんて思っているのが、大半ではないでしょうか。
そして、実は、同性からも、疎まれたり、引かれたりするのではないでしょうか。
日本ほどそういう傾向がないアメリカでも、それは感じます。
(日本だったら、ここまでなる前に、かなりつぶされる・・と思いますけど。)
さらに、もうひとつ質問。あなたは強い女、勝ち続ける女が好きですか?
これは、別に男に置き換えてもいいんです。好きですか?
去年からずっと考えていることがあって、それは渡米して1年間のロンバケの中で、
自分と向き合って考えたいことのひとつでした。
人は決して正しいことに惹かれるわけではない、
人は決して強いことに惹かれるわけではない、ということです。
『ユダヤ人に学ぶ成功の秘訣』(?タイトル不正確)という本を読んでいた時のことです。成功するための条件のひとつに、「人から、助けてあげたいと思われる自分であることが大事だ」というのがありました。
何かを始めるとき、また経営者などの地位を得ても、
他人が助けてあげたくなるような人物がいる、そういう人が成功する!というのです。
逆に、なんでもできる、完璧なようだから、助けはいらないだろう・・・と思われるのは
とてもマイナスだと。
完全であったり、常に正しかったりしなくても、
愛され、助けられることで、むしろ間違えない人以上の成功を生むと・・。
これには、実は雷鳴轟くようなショックを受けました。私自身が大いに反省しました。
さまざまなシーンで、打ち負かす、勝ちのこる、ということをしてきたように思うからです。
かれこれ1年近くそのことを考えていたら、
ちょうど年明けに、私の尊敬する2人の女性経営者から、
いわば似たような話が舞い込みました。
戦闘モードで勝ち続けては、むしろいけない・・ラッキーが逃げていくのだという話でした。
見渡せば、確かに私の周りの大成功している経営者には、
どこか足りなかったり、時に脇が甘かったりで、助けてあげたくなる人が結構います。
小泉純一郎なんて人もそうではないでしょうか?
そして、前大統領のビル・クリントンも、まさにそういう人物だったと思います。
それは、松下幸之助が、リーダー(政治家や経営者)に必要なものはなにか?と聞かれて、
いろいろあるが、欠けてはならないのが、愛嬌だと言ったのにも通じると思います。
私の個人的な反省と改善努力?はさておき・・・・こちらで新聞やテレビを見ていると、
今回の大統領候補の中で、最も完璧で常に正しいのがヒラリーだと感じます。
特にディベートでは、正しい数字を挙げて実証し、相手を論破し、政策実現には期限をもうけ、背景や必要な法整備を掲げ、つっこみを入れる隙をあたえません。
たしかに、もっとも現実味があり、もっとも政策実行能力のある候補者でしょう。
しかし、おそらく、普通の人々は、それが、イヤ!なのだと思うのです。
彼女にすれば、私にあと何が足りないの?と思うでしょう。
それ!その完璧で正しく、隙がなく、負けないことが、たまらなくイヤなのだと思います。
今回、ヒラリーが涙を見せたことに対して、
投票に影響は与えていない・・という世論調査の結果が出ました。
逆にイメージを低下させたという結果も出ています。
しかし、もしかしたら、どこかで、少しほっとして、
ヒラリーに投票したという心理もあるのではないでしょうか。
ところで、もし彼女に完璧でないことがあるとしたら、夫ですよね。
大統領選挙に立候補したばっかりのときから、歌手との不倫がばれて、
テレビ番組で謝罪し、ヒラリーもかばい・・・
その後、大統領執務室でのモニカさんの話は周知の通り。
浮気されるなんて、どんだけ悲しくて悔しいか・・・世の女性なら知っています。
彼女が唯一、専業主婦からも同情される部分です。
しかし皮肉な世論調査の結果が・・。
もし今年、民主党からその怨まれるべき亭主、ビル・クリントンが立っていたら?
誰に入れるか?という質問に、
ヒラリーの支持者の75%がビル・クリントンに入れる・・・と答えたそうです。
完璧な女、ヒラリーを妻としながら、どうしようもない浮気やお金の嫌疑をかけられる、
ちょっぴり情けない良人を・・・人々は愛すべき・・と思うのでしょうか。
ちなみに、私が今みてもてらっている英語の先生のおば様が
ヒラリーと友人で、よくランチとかするそうです。
が、彼女は本当にいいやつ!らしいです。
私もそんな気がします。
きっと完璧でなきゃ・・弱みを見せてはダメと
自分に鞭打ってがんばってしまって、
誤解されるタイプなんだろうなーって。
いやはや・・できる女は、完璧でもいけなくて、
隙もみせなきゃいけないし、
ほんとに大変です・・・スケールは違いますが、いろいろ反省&考えさせられるテーマです。
ビルクリントンは自分の大統領選挙で「get two for the price of one」と言いました。
今時分、アメリカの店でよく見ます。
ひとつの値段でふたつ買えます!ってやつで、
ビルに投票すると、同じように素晴らしいヒラリーがついてくる、って意味だったそうですが・・・
であれば今回も同じ。さて、どうなりますか?
でもさーーーーー、でも・・ですよ、
それ以前に・・・親子の次は夫婦かいなー??。
いやー、親子もひどかったけど、夫婦もねーーー、って
アメリカ人は思わないのでしょうか????
今、ヒラリーの横に立つ、以前よりかなりしょぼくれて年老いたクリントンを見ると、
結局、もう一回クリントン政権???って思いますよね。それでチェンジなんてないよなーって。
最終的には、おそらく2月5日に決まるはずです。
あれ、でも今、日本も親子二代目総理でしたね。
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